おいしい信州ふーど(風土)大使 インタビュー

中村勝宏さん インタビュー

信州は豊かな自然と魅力的な食材があふれる場所
ぜひ、自分だけの味を作り出してください!


信州の伝統野菜は、風土が育てた宝

私と信州との出会いは、当てもなくふらりと乗った新宿発「諏訪行き」の電車。それまでは漠然とした山への憧れがありましたが、初めて信州の地に降り立ち、豊かな自然に感動を覚え、以来、何度も信州を訪れるようになりました。その頃は、駆け出しの料理人でしたので、食材や美食にお金を使う余裕はありませんでした。でも、松本駅近くのそば屋で食べたそばの味はいまだに忘れられません。

そんな縁のある長野県から「おいしい信州ふーど(風土)」大使を任されて一年が経ち、改めて信州は食材の宝庫であると感じています。中でも、特定の地域で栽培されている「信州の伝統野菜」は、風土が育てた誇るべき宝と言えます。

例えば、天龍村の「ていざなす」は、見た目の大きさに驚いてしまいますが、やわらかくてとろりとした食感がたまらない。ピーマンのような形をした小諸市菱野地区の「ひしの南蛮」は、ヘタもタネもまるごと食べられて、特にタネがおいしい。私はこれを油でさっと素揚げして、ラタトゥイユを詰めて、色合い良く仕上げてみたのですが、「こんな食べ方があるの?」と、地元の方にびっくりされました。

伝統野菜は、その土地に受け継がれている調理方法があり、それは守っていくもの、ゆるぎないものではありますが、我々がまったく違った視点で、発想を広げていくと新しい料理が生まれる。料理人にとっても、新しい食材に出会うことはこの上ない喜びなのです。料理人の技術が活かされるのも、食材があってこそだと思います。


作り手同士の対話が大切

信州へは、定期的に食材巡りに出かけていますが、農家は土、料理人は火が相手の作り手同士。実際にその土地に行き、作り手同士が話し合うことで、食材の背景や新しい料理のヒントが見えてきます。料理人として、良い食材を提供してくれる農家の努力に感謝しながらも、時には、厳しいアドバイスをすることもあります。でもそれは、良い食材を守り続けて欲しいからなのです。

信州の皆さんは、自分が暮らす土地の良さに気づいていないかも知れません。けれど信州は都会に暮らす多くの人が憧れる場所です。豊かな自然と魅力的な食材が日常に存在することは、とても贅沢なことなのです。そんな環境に暮らす皆さんの周りには、まだ出会ったことのない食材がたくさんあると思います。ぜひ、信州の食に関心を持っていただき、自分だけの味、家庭の味を作り出してください。