「おいしい信州ふーど」大使 インタビュー

小泉武夫さん インタビュー

信州に綿々と受け継がれる“健康的な食生活”を次代に伝え、ふるさとが大好きな子どもたちを育てていきましょう


和食の基本食材を食べ続けてきた信州人

食を研究している私から見て信州は、昔ながらの“健康になれる”食生活が綿々と続いているところが素晴らしいと思います。

2013年末に、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、和食は七つの食べ物で構成されています。
一つ目は根菜。いもやごぼう、大根など、土の中になる根や茎。
二つ目は菜っ葉。はくさいやレタス。
三つ目はりんごやぶどう、なしなどの果物。
四つ目は山菜やきのこなど、山から採ってくるもの。
五つ目は大豆などの豆類。
六つ目は海藻。
七つ目は米や麦などの穀物類です。

和食の基本であるこれらの食材には繊維質がたっぷりと含まれ、繊維質を摂取することで整腸効果が得られ、免疫力を高めることにつながります。

つまり、七つの食材のすべてが県内でまかなえる長野の皆さんは、実に日本人らしい健康的な食生活を送ってきたわけです。

加えて、30年以上前から県を挙げて取り組んできた「減塩運動」などによって、男女ともに長寿日本一を誇る県となりました。

信州の食材は品質が良いことも魅力です。空気が良い、水も良い、日照時間が長いなど、おいしい農産物が育つ条件が揃っていることはもちろん、農家の努力によるものも大きいのではないでしょうか。「減塩運動」もしかり、何事にも一生懸命に取り組む県民性が現れていると思います。


“食”で信州を愛する子どもたちを育てる

信州は、南北に長い県なので、北信、東信、中信、南信、それぞれの地域に多様な食文化が存在しているのも興味深いところです。おやきやそば、野沢菜などは信州を代表する郷土食として知られていますが、飯山市の笹寿司や木曽地方のスンキ漬、南信州の柚餅子など、長野県に住んでいても食べたことがないという郷土食は意外と多いのではないでしょうか。

ある調査によると、学校給食で地元の食材を使う比率が高いところほど、地元が好きだと答える子どもが多いという結果が出たそうです。

これをヒントに、信州の郷土食や食材を使った献立をもっと給食に取り入れ、次代の長野県を担う子どもたちにたくさん食べてもらう取り組みを進めてみてはどうでしょう。子どもの頃から地産地消を意識させ、信州に愛着を持ってもらう。長野県には、良い食材がたくさんありますから、活かさない手はないと思います。

“食”で日本一の長寿県になったのですから、次は“食”で日本一の郷土愛を持った子どもたちを育てていこうではありませんか。