「おいしい信州ふーど」レポート

生でも食べられる「村山早生牛蒡」は、白さと柔らかさが特徴

(左から)黒岩正勝さん、黒岩粂蔵さん、土屋悦男さん

須坂市の村山地域で栽培されている「村山早生牛蒡(わせごぼう)」。色が白くて柔らかく、アクが少ないのが特徴です。定番のきんぴらや煮物のほか、ピーラーで薄くささがきにすれば、生でも食べられるのでサラダに入れるのもお勧めとのこと。ゴボウは通常、栽培に150日以上かかりますが、村山早生牛蒡は100~120日くらいで収穫が可能。まさに早生という名の通りです。

柔らかい砂壌土を70~80センチほど掘ると村山早生牛蒡が現れます

昭和30年代の最盛期には、100戸を超える農家が栽培していたそうですが、その後は減少。2007(平成19)年、地元で長年作られてきたものを守ろうと、有志が村山早生ごぼう生産組合を設立しました。組合員は現在13人。千曲川の河川敷にある4反歩(約1200坪)ほどの圃場で、例年4月~7月にかけて種をまき、9月~12月に収穫しています。同組合代表の黒岩粂蔵さんは「傷つけないように注意しながら掘るので、一斉には採れません。少しずつ時期をずらして栽培しています」と話します。柔らかい砂壌土とはいえ、スコップで70~80センチほど掘るのは、なかなかの重労働。村山早生牛蒡は野ネズミも大好物らしく、浅いところは食べられてしまっているところもあります。「掘ってみないと出来栄えは分からない」というのが、面白いところでもあり、難しいところでもあるそうです。

村山橋のたもと、千曲川の河川敷に広がる圃場

組合員は現在、80歳前後の人たちが中心。副代表の黒岩正勝さんが「この間は、90歳の人も一緒に掘っていたから」というと、会計の土屋悦男さんは「俺らもあと10年くらいは頑張ろうか」と応えます。「今年は穴がいっぱい空いているのでネズミが多い」「お、これは食べられてない、長くて良いのが出てきた」などと会話を交わしながら、がっかりしたり、喜んだり。「伝統野菜に認定されて、守らなきゃいけないという気持ちが一層強くなった。市も支援してくれるので、これからもいろいろと取り組んでいかないといけないね」と話す3人。楽しそうに土を掘る姿が印象的でした。


⇒ 信州の伝統野菜「村山早生牛蒡」(「おいしい信州ふーど」図鑑)

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