「おいしい信州ふーど」レポート

幅広いメニューに応えてくれる鯉。より身近に、気軽に

のどかな田園風景が広がる中、浅間山と蓼科山を両側に望めるロケーションに中華レストラン「竹とんぼ」はあります。オーナーシェフの竹内次男さんは、東京や横浜の店で経験を積み、地元に戻って佐久の「望月カントリークラブ」へ。入社して1年、先輩が辞めたこともあって26歳のときから19年間、料理長を務めました。出発点は中華料理でしたが、専門調理師の資格を取得し、包丁の使い方は「和」、調理法は「中華」、そして演出は「洋」というスタイルも可能に。「お客さんが喜んでくれるものを出すことが一番だから」と竹内さんは話します。

中華レストラン「竹とんぼ」のオーナーシェフ 竹内次男さん

2004(平成16)年にオープンした「竹とんぼ」では、甘酢あんかけで仕上げた「佐久鯉丸揚げ」や、自家栽培の野菜と合わせた「カルパッチョ」、佐久の名物、プルーンを使った「甘酢あんかけ干しプルーン添え」などを提供しています。「鯉は新鮮な状態で届くので、生でも過熱でも調理できる。メニューの幅も広がります」と竹内さん。佐久市のパンフレットにも載っているという「薄造り」は、身はお酒に付けてから透き通るような薄切りに、鱗はから揚げ、皮は湯引きをして、まるで「フグ刺し」のような一品です。

  • 自家栽培の野菜と合わせた「熟成鯉のカルパッチョ」
  • 熟成鯉の甘酢あんかけ干しプルーン添え

鯉は生臭い、泥臭い、骨が大変というイメージを持っている人もいるかもしれません。「エサも環境もしっかりしたところの鯉は無臭。骨についても邪魔にならない調理法を考えればいい」。竹内さんが提案するレシピには、あまり手の込んだものではなく、普段の食卓を彩る一皿になるものもあります。鯉を使った料理が一般家庭に普及することが、地産地消、消費拡大につながっていく。「こういう料理をしたいと言えば、魚店はそれに合わせてさばいてくれる。手間を省いて身近にしていくことが大切」と竹内さん。店では定期的に「地産地消を食す会」を開き、生産者、料理人、そして食べる人の3者が交わる場を設けています。「食という字は分けると『人』を『良』くする。食べることを楽しむのはもちろん、人と人の出会いの場になれば」。食には人と人、さらには地域もつなげていく力があるのかもしれません。


中華レストラン竹とんぼ
TEL:0267-51-5151
住所:佐久市八幡705
営業:11:00~14:00、17:00~22:00
定休:水曜日

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