「おいしい信州ふーど」レポート

生産者と飲食店が一緒に取り組むことで、「おいしさ」の輪が広がる

中野市の中心市街地・湯町にある居酒屋「季節料理 和喜多」。通年で提供している「ぼたんこしょうつくね」は、ピリッと辛いみじん切りのぼたんこしょうがポイントです。旬の季節にはナスやミョウガ、漬け物などを刻んだ郷土料理「やたら」や、半分に切って中にキノコやチーズを入れて豚バラ肉で巻いた「肉巻き」も登場します。2代目の店主・脇田綱偉さんは「ピーマンをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれないですね。いろいろなものと合いますよ」と話します。

通年で提供している「ぼたんこしょうつくね」

脇田さんが父親から店を継いだのは約20年前、30歳のときでした。「どこもやっていないことをやろう」と考えたのは、地元の野菜を使ったメニュー。今でこそ、地産地消という言葉を耳にする機会も増えましたが、当時は、地元の食材への関心はまだまだ低い時代でした。「中野といえばキノコ。ちょうど僕と同世代で家業を継いだという人もいたので、相談しながらいろいろ試しました」。幻のキノコと呼ばれる「バイリング(はくれい茸)」をカツのように卵でとじたものや、通常の半分くらいの長さの「フラワーえのき」を揚げたものなど、創意工夫を凝らした料理は、店の看板メニューになっています。

2代目店主の脇田綱偉さん

「あそこの店へ行ったら、地元の食材を使ったおいしいものが食べられる」という評判が広まると、自然と地元の食材が集まってくるもの。ぼたんこしょうも、伝統野菜に認定される以前に、市から「斑尾ぼたんこしょう保存会」を紹介してもらって使い始めたと言います。「生産者はおいしい食べ方を知っているので、それを教えてもらって、形にしていきたい。生産者と僕たちのような飲食店が、一緒に考えながらおいしい料理を作り出す、そういう輪が広がっていけばいいですね」と脇田さん。店内の壁には、地酒のラベルがずらりと並び、おしながきには、地元産の野菜だけではなく、信州サーモンや信州大王イワナの文字も。観光客、地元の人問わず、「中野の味」を楽しみたい人が今宵も集います。


季節料理 和喜多
TEL:0269-22-5127
住所:中野市中央1-10-4


⇒ 信州の伝統野菜「ぼたんこしょう」(「おいしい信州ふーど」図鑑)

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